会場は城壁都市
ルッカは、イタリア北部、トスカーナ地方にある、人口8万人ほどの城壁都市。ルッカのコミック・フェスティバルは、旧市街と呼ばれる、街全体を使って行うフェスティバルというところに特徴があります。その点ではアングレームと似ていますが、イタリアの歴史上重要な要塞で、海外との交易によって栄えたルッカは、もともと小さくても「国」だったので、城壁に囲まれた街の中には、「王宮」や、びっくりするほど立派な教会や塔があります。周囲の城壁が16〜17世紀、中の建物はそれ以前、なんと11〜12世紀(!)に建築された建築物も数多くある城壁都市・ルッカ。そうした歴史的建造物も使って「マンガの展示」をするというところがルッカの最大の特徴。つまりルッカでは「王宮」に「マンガ」が展示されるわけです。
場所は、というと、空港ではピサが一番近く、車で25分ほど(タクシーで7〜8千円)。フィレンツェからも、列車で1時間20分ほどで到着しますが、いずれにせよ、日本人にとっては、あまり行きやすいところとは言えないでしょう。
実は、世界的に有名な海外のコミックフェスティバルは、参加までがたいへんです。フランスのアングレームは、アングレーム市内になんか、まず絶対に宿は取れず、だいたいみんな、列車で20〜30分はかかるコニャックあたりから通うのが普通です。サンディエゴのコミコンはもっと悲惨で、期間中はサンディエゴのホテルは3倍くらいの値段になり、しかも予約は壊滅状態。7月末の開催なのに、最近では、チケットが年内に売り切れてしまうというありさま。
では、ルッカのフェスティバルはどうかというと、やはりホテルの値段は2倍以上になっており、城壁の中にあるホテルは取れなかったのですが、それでも会場まで徒歩圏内。まずまず、といったところでしょう。なんせ会場に車で通おうとすると、ものすごい大渋滞に巻き込まれますから。
けれど最大のハードルは、なんと「ルッカ コミックス&ゲームス」のHPは、イタリア語しかない!日本語はいわずもがな、英語の説明すら存在しません。あんまり、よそから人を呼んで観光資源にしようとか考えてないんですね。にもかかわらず、昨年の参加者は4日間で30万人を数えた、というから驚きです(15万5千人という説もありますが)。
私たちは幸い、イタリアのマンガ学校で日本マンガの構成を教えている山根緑さんのご協力を得ることができ、山根さんご自身は今回のフェスティバルの日本ゲストの一人である小畑健さん(もちろん、『デスノート』『ヒカルの碁』『バクマン。』
の小畑健さんです)の通訳とアテンドのため、初日しかご一緒できなかったのですが、よい通訳の方をご紹介していただき、充実した取材をすることができました。では、さっそく、「ルッカ コミックス&ゲームス」の会場へと向かいましょう!
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