−『北斗の拳』ファンだそうですが、好きなキャラクターは誰ですか? |
トキです!!子供の頃から『北斗の拳』を見ていましたが、中でも主人公のケンシロウを助ける役割である、トキが好きでした。彼の生き方は、私の人生においても大いに学ぶべきところがあると思っています。 |
−日本のマンガやアニメをよく観ているんですか? |
はい。私は、ヨーロッパにももっと日本のマンガやアニメを広めたいと思って、バンドをつくりました。バンド名は「ケンシロウ」といいます(一同笑い)。『北斗の拳』のストーリーを音楽にたとえて曲をつくり、活動しています。北斗七星は体に刻まれてはいませんが、メンバーは7人にしました。自分が苦しいときは、バンド活動によって元気を得ている気がします。「おたくの個室」の彼らがマンガやアニメを励みにするのと同じように、私も「ケンシロウ」の活動が励みになっているんです。 |
−日本のマンガやアニメと、ヨーロッパのそれとの違いは、何だと思いますか? |
私は、マンガやアニメは今の社会を反映する鏡のようなものだと思っています。ヨーロッパ製のマンガは、社会を反映していません。でも日本のマンガは、社会を反映することに成功していると思います。ファッションなどだけではなく、人間の生き方や社会のありかた、日本の哲学的な面までを反映しているのではないでしょうか。イタリアでも、このような意識を持ってマンガを描いている人もいますが、商業ベースにはのせられず、ネットを通じて発表するのにとどまっているのが、現状だと思います。しかし、私は今30歳なのですが、私の年代は、ルパンや他のマンガ・アニメを見て育ち、マンガやアニメを通じて希望を得てきた世代だと思います。『北斗の拳』は、自分の人生の一部なんです。建築家であり、ジャーナリストであることも自分の仕事ですが、『北斗の拳』を語ることは自分にとって欠かせないことなんです。 |
−えっ、建築家?では関係者なんですか? |
はい。私は建築家で、建築雑誌に寄稿などもしています。ミラノのマリオ・ベリーニという建築家の事務所で働いています。 |
通訳さん:えっ!?とても有名な建築家の方の事務所じゃないですか!すごいですよ!(さっきまでの態度から一変、安心しきった様子で、完全に舞い上がってしまう。ちなみに、マリオ・ベリーニは世界的に有名な建築家・工業デザイナーで、日本にも作品が多数紹介されている)
−(一同)そうなんだ!!す、すごい… |
今回も、実は搬入に参加しているんです。 |
−では、建築家として今回の日本館の展示をどう思いますか? |
マンガという2次元的なものを、空間を使って表現したのが、このパビリオンの素晴らしい点だと思います。私は建築家ですので、空間のアレンジの難しさは分かっていますが、日本館はそれをよく消化したと思います。また、おたくが集まって、自分たちの街、自分たちのコミュニティをつくっていくことは、素晴らしいと思いました。他の人が見たら、さっぱり理解できないかも知れませんが、私もおたくですからその素晴らしさは分かります。 |
−一番気に入ったコーナーはどこですか? |
「おたくの個室」です。私が一番好きな個室は…(案内してくれる)この部屋です(等身大フィギュアのある部屋、一同爆笑)。これこそ本当の、おたくの部屋だと思います。フィギュアに話しかけることもできるし…。私なら、ケンシロウの等身大フィギュアを置いて、話しかけたり、戦ったりしたいですね(笑い)。 |
「おたくの部屋」コーナーで。彼が「一番好き」と答えたのは左上の部屋。
(ここで、彼のフィアンセが登場。彼女も建築家だそうだ) |
私はよく、「あたたたたた」とか言って彼女に『北斗の拳』ごっこを仕掛けるんですが、すごく嫌がられます(一同爆笑)。でも結婚するんだから、この程度は認めて欲しいですよね。 |
…建築のエリートで、しかも日本おたくの素晴らしい理解者!いきなりこんな人に出会えるなんて、なんてラッキーなんだ。彼に勇気づけられ、取材にいっそう力の入る共信マンであった。 |

フィアンセとのラブラブ2ショット。得意顔の彼に対して、彼女の「うちの彼がすいませんね〜」というすまなげな表情がかわいい。 |