◎アニメ/マンガと日本文化の総合情報誌…JAPAN VIBES
『JAPAN VIBES』(ジャパンバイブス)誌は1年前に創刊され、隔月刊、定価4.9ユーロ(約700円)で発行部数は4万部。5月発売の最新刊を見てみると、誌面全体の8割がマンガ/アニメの作品紹介やDVD情報だが、特徴的なのは残りの2割だ。全体で20ページほどが、日本の音楽や映画、流行などの紹介に割かれている。J-POPコーナーでは、特集が「モーニング娘。」に「Do
As Infinity」、映画コーナーでは三池崇史監督作品の紹介、さらに旅行情報ページでは浅草の観光案内や回転寿司のお作法など、ユニークな記事を載せている。
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「JAPAN VIBES」の誌面より。「ブンカ」と書かれたページには、回転寿司のお作法が、食べ方から値段の見方まで事細かに説明されている。 |
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編集長のPAVIUS氏 |
編集長のJonathan PAVIUS氏は、「マンガから始めて、徐々に日本の文化にも興味をもってもらいたい」と語った。
というのもPAVIUS氏は、叔父さんが日本人女性と結婚した関係で、幼い頃から漫画をはじめ、さまざまな日本文化に触れる機会が多く、彼の中では「マンガ」も「文化」も「日本」という一つのカテゴリの中で自然に並立していた。しかし、一般のフランス人はマンガと日本文化が必ずしも結びついていない。彼は、マンガに描かれている描写には「日本」を知らなくては分からない、また面白さが半減してしまう部分もあり、マンガを本当に楽しむには、マンガ(の吹き出し)を「読む」だけではなく、背景にある日本の「文化」を理解する必要があると常々感じていた。
しかし、実際に日本の文化に触れる機会が少ないフランスの状況を見て「マンガは日本の文化の中にあるもの、だから日本の文化を知ればマンガがもっと面白く読める」というコンセプトを前面に出した雑誌作りを志したそうだ。
結果的に、日本文化を取り上げることによって他社の雑誌と差別化でき、また、日本自体に興味を持ち始める人たちが徐々に増えていることもあり、売上も伸びているとのこと。
「マンガ・アニメが好きな人であれば、日本文化に対して、たとえ漠然としたものだとしても、ほとんどの人が興味を持っているのではないでしょうか」と
PAVIUS氏はフランスの現状を分析している。
雑誌の広告を見ると、アニメグッズ、フィギュアやJ-POPのCDまで、大抵のものは通信販売で購入できる。年に何度も開かれるイベントに行けば、マンガ、アニメ、ゲーム、フィギュアなどの最新情報が手に入り、同人誌販売やコスプレにも参加できる。フランスのオタクを取りまく環境は、実は我々が想像するよりも、もっと豊かで多様なのかもしれない。
(データ協力:EJC)
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「JAPAN VIBES」編集部。壁には日本のアイドルのポスターがあちこちに貼られている。 |
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